民泊で出版 1泊ツアーからヒント

少し間が開いてしまいましたが、前回の投稿は、民泊ツアーについて書かせていただきました。民泊市場の第一線で活躍されている方の話を聞かせていただき、あわせて民泊で使用されている物件の見学もさせていただきました。同時に、出版社として今更ながら民泊の書籍を刊行しなければならない想いも強くしました。

民泊本は既に多く出版されていますが、どれもほぼ同じような内容に見受けられます(Airbnbの仕組みやメリット、民泊で成功するための秘訣、訪日客の増加による宿泊施設不足、2020年を控え巨大市場に・・・などなど)。弊社で出版するなら当然、別な視点からと考えるのですが、かと言って、零細出版社の素人集団ではそう簡単に妙案が思い浮かびません。しかしながら、今回のツアーでご講演をいただいたタイと日本で民泊事業を展開するエアーグローバルエージェンシー・バンコクオフィスの近江幸生CEOが、従来聞いてきた中身とは別角度で民泊を捉えており、今後の出版のヒントを得た気がしました。以下、近江CEOの講演の内容を一部、抜粋させていただきます。

海外移住をすることが昔からの夢だった。数年前に北海道で飲食事業などを行っていたとき、その夢を叶える一歩として外国人を無料でホームステイさせることを始めた。ある時、世界一周の途中という若いフランス人が宿泊に訪れ、旅費の工面について聞いてみたら「半分は貯金。もう半分は自宅をゲストに貸した売上げで賄っている」と話していた。自分も同じことを始めてみたら、たくさんのお客さんがきた。「これは凄い」と実感していた時に、ちょうどバンコクで日本の製薬会社の子会社がホテルを立ち上げた話を聞き、多彩な事業を計画していることに興味を抱きタイに移住することにした。現地で働きながら民泊事業に触れ、成功するパターンとしないパターンを把握した上で会社を立ち上げた。会社の方向性は、まずはタイ法人としてASEANを中心とした民泊の管理会社だった。タイはインバウンドで食べている観光立国。学校でも、将来的に観光に携わり食べていけるための人材育成を行っている。多国語が話せることも条件になるが、こういう人を民泊で配置する場合、タイの人件費は日本の3分の1で、上記の育成を受けた多くの優秀な人材も眠っている。現在、タイではアパート1棟をリノベーションして民泊仕様にして貸し出している。タイには世界各国のデベロッパーが進出していることもあり、タイ人の感性は鋭くなっている。こうしたことを背景に、弊社ではリノベーションデザインチームを設け、またデザイン会社とも提携している。公共の交通が未発達なため、車の手配もしている。日本での民泊において、弊社のターゲットはファミリー層。それも、祖父や祖母、親戚なども含めた10数人単位のファミリーを狙っている。1人や2人で来る通常のホテルの客と戦った場合、ホテルには勝てない。ファミリーだと、ホテルに宿泊するにしても1部屋2人程度の定員のため、バラバラになってしまう。こうした人たちの受け皿となるための物件づくりをしている。さらに、「ホテルが高いから民泊を」という層を狙ってしまうと、物件をローコストで仕上げてしまうことになる。すると、IKEAやニトリの家具を使用することになるが、日本でなくても売っている。多くの訪日客は日本文化の体験も目的にしているが、これでは体験ができない。民泊成功の方程式。それはお客が払う金額に対し、物件の質、サービス、清掃、そして文化が金額を上回っていることといえる。レビューも良くなり、次の集客にも繋がっていく。トイレや風呂などの水回りを充実させることも大事。そうすることで、同じ収容人数の物件だったとしても圧倒的な価格差が出てくる。内装は、”インスタ映え”するように気を遣っている。