公示地価発表 上昇基調の要因の一つに訪日客増

先ごろ、国土交通省より公示地価(2018年1月1日時点)が発表されました。全国的に回復傾向(前年比0.7%プラス。3年連続上昇)にあり、特に地方圏の商業地では、26年ぶりに上昇に転じたとのことでした。
全国商業地の上昇率トップは北海道の俱知安町で、2位は大阪・道頓堀でした。倶知安町は国際リゾート地域の「ニセコひらふ」のお膝元で、道頓堀を含む大阪ミナミ地域は、ランドマークが集まり多くの路線が乗り入れているため利便性も高く、個性的な店舗も数多く出店しています。両地点とも訪日客の増加が地価を押し上げているのですが、前にここで紹介しました民泊事業を手掛けるエアーグローバルエージェンシーの近江氏が「民泊のニーズは、訪日客が長期滞在する傾向にあること等を理由に大阪と北海道が高い」と話していたのを思い出しました。国交省の方も、「外国人観光客増加による店舗・ホテル需要の高まりで商業地の地価が堅調に推移していること」と今回の地価上昇の背景を上げ、訪日客の増加が地価上昇に大きく寄与した形となりました(昨年の訪日客数は2869万人と過去最高を更新)。
6月に施行される民泊新法も、規定されていない事項や抜け道もまだ多いようなのですが、今後も状況に応じてそれらの改善を図りつつ、闇民泊をなくして持続可能な住宅宿泊事業を定着させることが、誰しもが望むことだと思います。
なお、住宅地の上昇率のトップ3も俱知安町が占めました。リゾート従業員向けの住宅需要が増えていることが主な要因です。

公的機関が発表する地価の指標には、公示地価の他に基準地価と路線価があります。基準地価は、発表主体が都道府県。ある地点の土地評価である点は公示地価と共通なのですが、発表が8月(7月1日時点の評価)であることと、都市計画区以外の林地も調査の対象となっていることが公示地価との違いです。路線価は、敷地そのものではなく文字通り、路線に対する評価となります。1月1日時点の評価なのですが、調査地点が多いことから発表は7月となっています。